チームPLUS 1

店主敬白

12.バイク屋前夜 '86某月

勤め人最後の日。特に感傷的になる場面も無く、いままでどおり終業時間が近づいてきた。いつものようにホワイトガスをウエスに染み込ませ、自分専用のツールを拭く。いつもと違っていたのは、その量が多いこと。今日使った分だけではなくて、自分が使っていたツールをエイヤッと全部抱えてしゃがみこんだ夕暮れ。

 Tレン、メガネときれいに拭ってくうちに・・・なんと、ぐグっとこみ上げてくるものが。社長、同僚、馴染みのお客様、だれと話していても特別な感慨は沸かなかった日。淋しいわけでもない。悲しい気分でもない。なのに、道具を相手に何故か涙した「バイク屋前夜」があったのでした。